お酒にはどんな種類がある?違いや特徴、楽しみ方について解説
世界には様々な種類のお酒が存在しています。
「お酒は好きだけれどいつも同じものしか飲まない」「今まで飲んだことのないお酒を試してみたい」という方も多いのではないでしょうか。
ここではお酒の種類を醸造酒、蒸留酒、混成酒の3つに大別してその製法や起源、特徴などを詳しく解説しています。
新しいお酒に出会いたいという方はぜひ参考にしてみてください。
目次
お酒は何種類ある?
多くの種類があるお酒ですが、大きく分けると3種類に分類することができます。
- 醸造酒
- 蒸留酒
- 混成酒
一般的に知られているお酒はこれらの3種類に分けられます。
どのようなお酒が上記の3つのどれにあてはまるのか、1つずつ解説します。
醸造酒
醸造酒は穀物や果実を原料とし、酵母を加えて発酵させたお酒です。
醸造酒・蒸留酒・混成酒の3種類の中で最も長い歴史を持ちます。
醸造酒のアルコール度数は比較的低めで、高いものでも日本酒の20度程度です。
醸造酒には原料に糖分が含まれており、この糖分がアルコールに変わると発酵が止まってしまうため、低めのアルコール度数に仕上がります。
醸造酒に分類される代表的なお酒にはビールやワイン、日本酒などが挙げられます。
醸造酒は発酵方法によって単発酵酒、単行複発酵酒、平行発酵酒に分けられます。
単発酵酒はもともと糖分を含む果実を使用したお酒です。
原料を糖化する必要がないため、酵母を加えるだけでアルコール発酵ができます。
ワインやシードルなどがこの単発酵酒として挙げられます。
単行複発酵酒は糖分の含有量が少ない原料を使用したお酒です。
酵母を加える前に含まれているデンプンを糖に分解する工程があります。
糖を分解する工程と発酵させる工程の2つの「単行」を順におこなうため単行複発酵と呼ばれています。
並列複発酵酒は糖とアルコールを1つの工程でつくりだしたお酒です。
日本酒などの清酒がこの並列複発酵酒に分類されます。
米に麹菌を加えると米に含まれるデンプンが糖に分解され、さらに酵母を加えることで発酵がおこなわれます。
糖の分解と発酵を同時におこなうため平行複発酵と呼ばれています。
蒸留酒
蒸留酒は醸造酒の原料を発酵させたものを蒸留して造ったお酒です。
蒸留とはアルコールの沸点が水よりも低いことを利用し、気体に変化したものを再度液体に戻す方法です。
そのため気化した蒸気が冷却器によって冷やされ、液体に戻ったものが蒸留酒となります。
沸点の低いアルコールを蒸発させたものが抽出されるため、醸造酒と比べるとアルコール度数の高いものが多いです。
蒸留酒に分類される代表的なお酒にはウイスキーやブランデー、ウォッカ、焼酎などが挙げられます。
混成酒
混成酒とは醸造酒や蒸留酒を原料にし、果実や香料、ハーブなどを使用したお酒です。
ベースとなる醸造酒や蒸留酒に香りをつけ込む浸漬法や、お酒と香り成分を共に蒸留させてつくる蒸留法、ベースのお酒を流しながら香り成分を抽出するバーコレーション法など、製法は多岐に渡ります。
混成酒に分類されるお酒にはリキュールやベルモット、梅酒などがあります。
混成酒=リキュールとされることも多いですが、混成酒は醸造酒原料と蒸留酒原料(スピリッツ)に分けることができ、リキュールは蒸留酒原料のお酒と位置づけられています。
醸造酒の種類
醸造酒の種類として代表的なものに日本酒、ワイン、ビールが挙げられます。
これらの3つのお酒についてその起源や製法、特徴などを詳しくご紹介します。
日本酒
日本酒は原料に米が使われている日本特有のお酒です。
そのため日本酒の起源は稲作が日本に伝わったとされる弥生時代にさかのぼります。
日本酒は清酒の1つです。
清酒の定義は法律で決められています。
清酒とは、
1.米・米こうじ・水を原料として発酵させ、こしたもの
2.米・米こうじ・水・清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させ、こしたもの
3.清酒に清酒かすを加え、こしたもの
のいずれかの条件を満たし、かつアルコール度数が22度未満のものを指します。
清酒の中でも原料米に国産米を使用し、日本で製造されたものを「日本酒」といいます。
日本酒は大きく分けると「特定名称酒」と「普通酒」に分類されます。
特定名称酒になるためには以下のような条件があります。
- 米、米麹、醸造アルコール以外の原料を使用せず、また醸造アルコールの使用量は白米重量の10%以下であること
- 3等以上に格付けされた玄米、またはそれに相当する玄米を精米して使用していること
- 米麹の使用割合が15%以上であること
これらの条件を満たすものを特定名称酒、それ以外の日本酒を普通酒と分類しています。
特定名称酒は原によってさらに純米酒、吟醸酒、本醸造酒の3種類に分けられます。
純米酒は米・米こうじ・水を原料として造られたものです。
吟醸酒と本醸造酒には米・米こうじ・水に加えて醸造アルコールが使用されています。
吟醸酒に使用されている米の精米歩合は60%以下、本醸造酒に使用されている米の精米歩合は70%以下とされています。
精米歩合とは精米して残った米の割合を表したものです。
純米酒、吟醸酒、本醸造酒は製造方法と精米歩合によってさらに合計8種類に分けられます。
純米酒は、
- 純米大吟醸酒(精米歩合50%以下)
- 純米吟醸酒(精米歩合60%以下)
- 特別純米酒(精米歩合60%以下または特別な製造方法)
- 純米酒
吟醸酒は、
- 大吟醸酒(精米歩合50%以下)
- 吟醸酒(精米歩合60%以下)
本醸造酒は、
- 本醸造酒(精米歩合70%以下)
- 特別本醸造酒(精米歩合60%以下または特別な製造方法)
以上のように分類されます。
日本酒は種類によって味わいが異なるため、様々な種類の日本酒を試してみるのも楽しいでしょう。
ワイン
ワインの起源は諸説ありますが、紀元前6000年前にコーカサス地方で誕生したといわれています。
コーカサス地方は現在のジョージア周辺で、ブドウの痕跡と土器が発見されています。
紀元前3000年頃には古代エジプト等へと広まりました。
この時代には造船に携わった人にワインが振る舞われたという文献が残っています。
ワインは原料のブドウに酵母を加えてアルコール発酵させる単発酵で造られます。
シンプルな造りだからこそブドウそのものの味がワインの味わいに大きく影響します。
ワインには原料の違いによって赤ワインや白ワイン、ロゼワインなどいくつか種類があります。
原料として赤ワインには黒ブドウ、白ワインには主に白ブドウ、ロゼワインは黒ブドウと白ブドウが使われています。
また製法によってもいくつかに分類され、赤ワインや白ワイン、ロゼワインのように通常の製法で造られたものはスティルワインと呼ばれます。
また炭酸によって発泡性が加えられたものはスパークリングワインといいます。
ワイン初心者の方はクセが少なく飲みやすいとされている甘口の白ワインをおすすめします。
ビール
ビールとは主に大麦を発酵させた麦芽やホップを原料とし、酵母を使用してアルコール発酵させたお酒です。
日本ではビールの定義が酒税法によって以下のように定められています。
- 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの(麦芽の使用割合100%)
- 麦芽、ホップ、水及び麦、米や果実、コリアンダーなどの香味料等の特定の副原料を使用して発酵させたもので、麦芽の使用割合が50%以上のもの
ビールはワインの次に古いお酒で、紀元前3000年頃には存在していたといわれています。
ビールにもいくつかの種類があり、上面発酵と下面発酵の2つに大きく分けることができます。
上面発酵は「エール」と呼ばれます。
上面酵母という発酵過程で液の上側に集まる性質を持つ酵母を使用して製造されます。
上面発酵で醸造されたビールは香りも味もしっかりとしているという特徴があります。
一方下面発酵は「ラガー」と呼ばれ、下面酵母を使用しています。
下面酵母とは上面酵母とは逆で発酵過程で液の下側に集まる性質を持つ酵母です。
下面発酵で醸造されたビールはすっきりとした味わいが特徴的で、喉越しも爽快なものが多いです。
蒸留酒の種類
醸造酒の種類として代表的なものに焼酎、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ジンが挙げられます。
これらのお酒についてその起源や製法、特徴などを詳しくご紹介します。
焼酎
焼酎は芋や麦、米などを原料とした伝統的な蒸留酒です。
酒税法では焼酎を「アルコール含有物を蒸溜した酒類のうち、連続式蒸溜機で蒸溜したもので、アルコール分36度未満、または単式蒸溜機で蒸溜したもので、アルコール分45度以下のもののうち、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、ジンなどに該当しないもの」と定義しています。
焼酎の起源は諸説ありますが11世紀頃にタイを中心とした中近東・東南アジアだとされています。
14世紀頃には沖縄でタイ米と黒麹菌によってつくられた麹を蒸留して泡盛がつくられていました。
これが日本最古の焼酎といわれています。
焼酎は蒸留方法によって単式蒸留焼酎(乙類焼酎)と連続式蒸留焼酎(甲類焼酎)に分類することができます。
単式蒸留焼酎は昔ながらの製法で造られた焼酎です。
一般的な製法は、米に種付けをして麹をつくり、一次仕込みで酵母などを加えて麹を増やします。
その後二次仕込みで水と米を加えて発酵させ、蒸留します。
単式蒸留の方法は常圧蒸留と減圧蒸留の2種類が存在します。
常圧蒸留された焼酎は原料由来の芳醇な風味が残るという特徴があります。
一方、減圧蒸留され焼酎は雑味が少なくすっきりとした味わいに仕上がります。
連続式蒸留焼酎は明治時代後期に西洋から伝わった連続式蒸留という技術を用いて蒸留される焼酎です。
連続式蒸留はその名の通り醪を連続して投入しながらおこなう蒸留方法で、もとはウイスキー造りなどにも用いられていました。
連続式蒸留焼酎は単式蒸留焼酎に比べて何度も繰り返し蒸留をおこなうためクリアな味わいが特徴的です。
ウイスキー
ウイスキーは蒸留酒の中では最も歴史の長いお酒と言われています。
主に大麦を原料としたお酒で、端的に説明するとビールを蒸留したものがウイスキーです。
ウイスキーの起源は15世紀頃のアイルランドとスコットランドといわれています。
ウイスキーには代表的な産地が5つあり、その産地でつくられたウイスキーは5大ウイスキーと呼ばれています。
5つの産地はウイスキーの発祥地ともいわれているアイルランドとスコットランド、さらにアメリカ、カナダ、日本です。
それぞれ原料が異なるため、それぞれ違った味を楽しむことができます。
製法がビールと似ていますが、蒸留の工程があるためアルコール度数は40度以上と高く仕上がります。
そのためロックやストレートでもいただけますが、炭酸で割ってハイボールにするのも人気です。
ウイスキーは樽熟成をおこなうため、色はコハク色に変化し味わいにも深みが増します。
ブランデー
ブランデーはブドウやリンゴなどの果実を原料にして造られます。
もともとはブドウを原料にしたもの、すなわちワインの製造過程で蒸留をおこなったものをブランデーと読んでいましたが、現在では果実をアルコール発酵させて蒸留したもの全般をブランデーと呼びます。
ブランデーは3大産地であるコニャック、アルマニャック、カルヴァドスで分類されます。
食中に飲むお酒というよりも食後に飲むお酒にぴったりで、甘いものにもよく合うためデザートと一緒にいただくこともおすすめです。
ジン
ジンは大麦やライ麦、ジャガイモなどを原料とする蒸留酒です。
11世紀頃にイタリアで誕生したとされています。
カクテルの材料として使われることが多く、香味付けされているため独特の風味を持ちます。
香味付けにはジュニパーベリーやコリアンダーシード、アンジェリカルート、シナモン、レモンピールなど様々な素材が使われています。
トニックウォーターで割って飲むジントニックが定番の飲み方です。
ウォッカ
ウォッカはとうもろこしや大麦、じゃがいもなどを原料とした蒸留酒です。
起源は諸説ありますが、12世紀頃にロシアで誕生したといわれています。
無色透明の見た目はジンとも似ていますが、香味付けされているジンとは異なりクセのない味わいが特徴的です。
ウォッカも主にカクテルの原料として使われています。
まとめ
お酒の種類は大きく分けると
- 醸造酒
- 蒸留酒
- 混成酒
の3種類に分類することができ、これらの3種類のお酒はさらに細かく分類することができます。
お酒には多くの種類があり、楽しみ方もそれぞれです。
製法によってはアルコール度数が非常に高いものもあるため注意が必要です。
ロックやストレートだけでなく割って飲むなどの工夫をすることで様々な種類のお酒を楽しむことができるでしょう。
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