日本酒の飲み方 日本酒を知る 投稿日:2023年10月03日(火) 更新日:2023年12月13日(水)

日本酒のペアリング方法と具体的な組み合わせの例をご紹介

さくら酒店編集部

日本酒は非常に多くの種類があり、楽しみ方も多彩です。
日々の食事やおつまみと一緒に日本酒を楽しむ方も少なくないと思います。

日本酒には、ワインなどと同様に食事と合わせることで双方の魅力を引き出すペアリングという概念が存在しており、組み合わせ方も多種多様です。

さまざまな組み合わせがあるからこそ、どのような日本酒にどのような料理、食材をペアリングさせれば良いのか迷う方もいらっしゃるかと思います。

ペアリングには、まず自分が飲む日本酒のことを知ることが大切です。
この記事では、ペアリングの基本的な考え方や日本酒の種類からおすすめのペアリングを紹介します。
自身の好きな日本酒に当てはめながら、より良いペアリングを見つけてみてください。

ペアリングの基本的な知識

ペアリングには基本的なルールがあり、自身の好みや日本酒のテイストに合わせて選択していくのが良いでしょう。

ただしあくまで味覚には個人差があり、住んでいる地域や家庭の食生活や食経験に左右されることがあるので、自身が一番合うと思うペアリングを探すことが正解への近道かもしれません。

基本的なペアリングのルールを紹介します。

①似たもの同士を組み合わせる

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スッキリとした味わいの日本酒に、冷奴のような優しい味わいの料理を合わせるなど、似た方向性の食材・料理と組み合わせる方法です。
双方の個性を打ち消しあうことなく楽しむことができます。

逆に香りや味、油っぽさの強いものに繊細な日本酒を合わせてしまうと、日本酒の繊細な風味がわからなくなってしまう恐れがあります。

日本酒の風味には、日本酒の種類だけ個性が存在します。
その風味に合わせて料理を選ぶと、日本酒だけでなく料理のテイストもより味わい深くなるでしょう。

産地が同じ、という共通点から組み合わせを考えることもできます。
その地域で生産されているものをペアリングすると、地域の歴史や背景などを想像することができ、テイスト以外での楽しみ方もできるのがポイントです。

②正反対のもの同士を組み合わせる

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全く違う味わいのもの同士を組み合わせることで新たな美味しさを発見することができます。

油っぽいものにさっぱりとした日本酒を合わせると、口内の油をスッキリと流しつつ旨味を残してくれてバランスが取れることがあります。

「似たもの同士を組み合わせる」とどちらにすべきなのかは、ペアリングの効果としてどういったことを求めるかによります。
油をさっぱりさせたい時や油の旨味をより深めて広げたい時など、その時々に求める味わい方をカスタマイズできるのも、ペアリングの魅力のひとつです。

③意外な組み合わせでお互いの良さを引き立たせる

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日本酒は日本の酒器で和食と合わせて飲むもの、と決まってはいません。
洋酒と合わせるイメージが強いチーズも、種類によっては日本酒との相性が良いです。

日本酒とチーズは同じ発酵食品のため、旨味成分であるアミノ酸が豊富に含まれています。
複数のアミノ酸による相乗効果で、より双方のテイストを引き立ててくれるでしょう。

日本酒のテイストからペアリングを決める

日本酒は、一般的に爽酒(そうしゅ)、薫酒(くんしゅ)、熟酒(じゅくしゅ)、醇酒(じゅんしゅ)の4つに分けることができ、香りの高さや味の濃さ、製法や精米歩合などで区別することができます。

日本酒の分類から合う料理や食材をある程度絞ることができるため、自身が好きな日本酒はどのタイプになるか確認してみるのも良いかもしれません。

精米歩合についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎精米歩合とは?基礎知識からマニアックな知識まで徹底解説

さくら酒店では、4つのタイプの他に「ライトボディ」「ミディアムボディ」「フルボディ」といったタイプでも日本酒を区別しています。
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これまで1,000種類以上の組み合わせを生み出してきた経験と実績を持つ日本酒王子 近藤悠一が直接ご質問にお答えします。

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爽酒

爽酒は生酒や醸造酒に多く、スッキリと軽い風味を持っています。
淡麗で、ほのかな甘みとフレッシュな酸味のバランスが良く、日本酒初心者にも飲みやすい日本酒です。

爽酒のおすすめペアリング

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サラダや冷奴など素材の風味を生かした繊細な料理の風味を殺しません。
また、スッキリと油を流しつつも旨味は残してくれるので、焼き魚や天ぷらなどとも相性がいいです。

素材の風味を楽しむのも良し、温かい料理に合わせても良いため、自身のお好みのペアリングを見つけやすいタイプといえるでしょう。

薫酒

薫酒は大吟醸酒・吟醸酒系に多く、フルーツや花のような香り高さを持つお酒です。
薫酒は爽酒に比べ香りがとても華やかな物が多く、日本酒単体で楽しむ方も多いでしょう。

薫酒のおすすめペアリング

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冷やした薫酒は、魚介のカルパッチョやレモンを添えた生牡蠣などのさっぱりした料理と一緒に。
クエや烏賊などのお刺身を九州の甘口醤油でいただくなど、淡白で旨味が強い料理にも合うため、和洋問わずペアリングしやすいのも魅力のひとつです。

また、薫酒の持つ香りにはいくつかタイプがあり、それによっても相性の良い料理は変わります。
甘い花や果実のような果実香の強いものなら、素材の味を繊細に生かしたアサリの酒蒸しやラタトゥイユなど。
ハーブやシトラスのような爽やかな香りの目立つものは、ハーブや香草などで味付けたサラダや魚介料理。
飲む薫酒がどういうタイプのお酒なのかによってペアリングはさらに多様になります。

熟酒

熟酒は古酒・長期熟成酒系(酒蔵で3年以上熟成させた日本酒)が主であり、熟成による豊かな色味と香りが特徴です。
コクも香りも強く、強い甘みや熟成由来の酸味など、種類によってさまざまなテイストの変化を楽しむことができます。
さらっと飲みやすい爽酒や薫酒とは違い、熟酒は熟成させた温度に近い温度帯で楽しむのがおすすめです。

また、飲んでいる瞬間の温度変化によっても風味が変化するため、少しずつ味わうのに向いています。

熟酒のおすすめペアリング

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味も香りも強い物が多いので、繊細な味の料理の余韻を消してしまう可能性があります。
すき焼きや麻婆豆腐などのガツンと味が濃い料理とは、とても相性が良いです。

また、チョコレートやナッツなど、いわゆる樽で熟成されたお酒に合うおつまみとの相性が良いことが多いです。

醇酒

醇酒は純米酒や生酛(きもと)酒系が主で、お米の甘みや旨味を存分に味わえる日本酒です。
ぬるいくらいの常温で飲むと、そのふくよかさやまろやかさが生かされ味わい深くなります。

醇酒のおすすめペアリング

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お米の味が比較的強いため、お米に合うご飯のお供などの料理と相性が良い傾向にあります。
濃いタレの味の焼き鳥や肉じゃが、エビチリなど、強い味の料理をお米のふくよかな香りが包み込みます。

生酛系は若干の乳酸感がある物が多いため、発酵食品などと合わせるのもおすすめです。

日本酒度などの数値からペアリングを決める

日本酒でよく使われる「淡麗甘口」や「濃醇辛口」などの言葉。
「甘口」「辛口」「淡麗」「濃醇」は、製造方法や材料ではなく味わいのイメージを表す言葉です。

日本酒は、ワインなどと同じように「甘い」「辛い」と分類されることがありますが、厳密にいうと日本酒には「辛い」という概念が存在しません。
より甘味の少ないものを、一般的に辛口と表現しています。
スパイシーではなく、ドライというイメージを持っておくと良いでしょう。

この甘口・辛口は、日本酒に含まれる糖分の量を表す日本酒度からだいたい目安をつけることができます。
日本酒度は含まれる糖分の量が多いほどマイナスになるため、日本酒度が高いほど辛口、低いほど甘口になる傾向にあります。
もちろん例外もあるので、この限りではありません。あくまで目安のひとつです。

ふわっとした「甘口」にキリッとした「辛口」だけでなく、スッキリと軽い「淡麗」、どっしりと重い「濃醇」。
「甘口」「辛口」と「淡麗」「濃醇」を組み合わせて示される味わいの傾向は、「淡麗甘口」「淡麗辛口」「濃醇甘口」「濃醇辛口」の4種類になります。

淡麗甘口

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淡麗甘口の日本酒はスッキリとしているため、鳥の唐揚げや酢豚のような油料理の旨味は残しながら油をさっぱりと流してくれます。

繊細な旨味も残してくれるので天ぷらとの相性も良く、淡麗甘口の日本酒は後味が甘いので甘い天つゆで食べるとより相性がいいです。
塩で食べる場合には、淡麗辛口の日本酒の方が素材の味を邪魔しにくいため相性が良いとされています。

淡麗辛口

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淡麗辛口の日本酒はスッキリとしていて甘味も少ないので、素材の味を生かしている塩味の料理ととても相性が良いとされています。
塩で食べる天ぷらや塩で焼いた塩鮭、塩辛などの塩気の強い食べ物は、さっぱりとした日本酒とバランスが良いです。
もちろん、わさびとお醤油で刺身を食べる場合にも相性抜群です。

濃醇甘口

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濃醇甘口の日本酒は旨味と甘みが強いので、力強い味の料理ともお互いを殺し合うことなく楽しむことができます。
お酒の甘みや旨味に負けないすき焼きのような、濃厚でガツンとした料理と合わせると良いでしょう。

濃醇辛口

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濃醇辛口の日本酒には強い旨味とコクがあるので濃いめの味付けの料理と相性がいいです。
日本酒自体の甘みが弱いので、甘みのあるものよりもアミノ酸由来の旨味の強いものの方が相性がいいです。
例えばお醤油で煮た煮魚のような鋭い旨味のある料理は、日本酒の旨味との相乗効果でまろやかな旨味を引き出します。

日本酒のペアリングを楽しむには酒器も重要

日本酒を楽しむためにこだわるべきなのは、料理との組み合わせだけではありません。
酒器も、日本酒の良さを存分に味わうには重要です。
爽やかだったり華やかだったりずっしりしていたり、それぞれの日本酒に合った温度や酒器について解説していきます。

ガラス・錫の酒器

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ガラスの酒器はひんやりとした手触りで、口当たりをシャープにしてくれます。
同じ飲み物でも、瓶か缶かでテイストが異なるように感じる現象と同じ理屈です。

生酒や醸造酒に多い爽酒は、良く冷やしてガラスの酒器で飲むと爽やかさが一層増します。

磁器の酒器

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磁器の酒器は華やかな手触りで、ガラス製の酒器と比較して厚みもあるため口当たりをまろやかにしてくれます。
厚みがあるため熱伝導率は低く、熱燗などの飲み方に向いているのもポイントです。

陶器の酒器

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陶器の酒器は、磁器と同様に厚みがあるため口当たりを柔らかくしてくれます。
陶器には細かい穴がたくさん空いているためわずかに吸水性があり、時間が経つと日本酒が染み込んでくる場合があります。
その場合は米のとぎ汁で煮沸するなどの対策をすると良いでしょう。

日本酒は水とお米、陶器は土から作られているため、日本酒と同じ産地の陶器と合わせてみるのも良いですね。

白木の酒器

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木でできた酒器は、他の材質の酒器と違って日本酒に風味をプラスしてくれます。
口当たりはまろやかで、木の香りを含んだ日本酒を口に入れれば、日本酒そのものとは異なる香りを楽しむことができるでしょう。
日本酒の臭みを和らげてくれる効果もあるので、日本酒に苦手意識を持っている方にも飲みやすくなるかもしれません。

樽酒など、木材の香りが移った日本酒が好きな方にはおすすめの酒器と言えます。

酒器の形

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酒器の個性は材質だけではありません。
サイズや口径の大きさなどによってもさまざまな個性を持つ酒器がが存在します。
日本酒を飲むシチュエーションや楽しみ方によって選ぶのも楽しいポイントです。

酒器にはぐい呑みやお猪口など、さまざまな大きさの物が存在します。

サイズ

冷やや熱燗などをそのままの温度帯で飲みたい場合、温度が変化する前に飲み切れるサイズのものを選ぶと良いでしょう。
熟酒など、温度の変化を楽しみたい場合は大きめの酒器を選ぶのがおすすめです。

日本酒の種類や自身の楽しみ方によって酒器の大きさを変えるのがおすすめです。

ワイングラスで日本酒を飲むという選択肢

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実は日本酒専用の酒器だけでなく、ワインの香りを堪能できるよう設計されたワイングラスも、日本酒を楽しむのに向いてます。

例えば細身で背の高いワイングラスは、スッキリとした爽酒をさらに楽しむことができます。
香り高い薫酒はブルゴーニュ型のグラスやラッパ型、熟成された複雑な風味を持つ熟酒は背が低く飲み口の広いブランデーグラス、力強い旨みと酸味の醇酒はボルドー型のグラスなどが合うでしょう。

飲み口が若干窄まっているタイプのグラスはグラスの中の香りを感じることができるため、香りを楽しみたい日本酒全般におすすめです。

スパークリング日本酒は、泡を逃さず美しく見せてくれるシャンパングラスとも相性がいいかもしれません。
洋食とペアリングするときに洋酒用のグラスを使えば、食卓の統一感も高まり、見た目にも美しいペアリングになります。

日本酒とワイングラスの組み合わせについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶︎日本酒をワイングラスで飲むと美味しい理由とワイングラスの選び方

簡単にできるペアリングの具体例

ペアリングの基本的な知識を応用し、手軽に楽しめる具体例を紹介します。
このペアリングはあくまで一例ですので、ご自身の好みに合うように試行錯誤してみるのも日本酒の楽しみ方のひとつです。

自身のお気に入りの日本酒に合うペアリングを見つけてみてくださいね。

爽酒にそば、湯豆腐

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すっきりとした味わいが多い爽酒には、素材の味を楽しめるそばや湯豆腐がよく合います。
お寿司屋さんで日本酒のメニューをみると、爽酒が多く取り扱われていることからもペアリングしやすい料理であることがわかります。

薫酒にお刺身、おひたし

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大吟醸酒など、吟醸香が特徴的な物が多い薫酒には、あっさりしつつ旨味がある料理がおすすめです。
淡白な料理と香り高い日本酒の組み合わせは、双方の良い部分を互いに高め合うおすすめのペアリングです。

熟酒に佃煮・生ハム・チーズ

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熟酒には個性が強くおつまみを選ぶものが多いので、お酒の強い味わいに負けない濃厚な佃煮・甘露煮などが合います。
よく熟成されたものには燻製したチーズや生ハムなども合います。

醇酒にクリームチーズ

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まったりとボリュームのあるクリームチーズは、甘味と旨味を引き立たせることのできる濃醇甘口の日本酒との相性がいいです。

肉料理や油料理と相性のいい日本酒も多くありますが、それらは冷奴やお刺身などと違い、作るのに時間も手間もかかります。
そういったものと相性の良い日本酒を手軽に楽しみたい時には、このようなおつまみを選ぶのも手です。

まとめ

この記事では日本酒のペアリングについて解説しました。
日本酒のタイプに合わせて料理を組み合わせるだけでなく酒器や温度にもこだわるなど、日本酒を楽しむ工夫はさまざまです。

季節のお酒とお料理を一緒に並べたら、日本酒好きなお客様を素敵なおもてなしで喜ばせることもできます。
日本酒や料理の数だけペアリングの可能性は広がります。
今回紹介したペアリング以外でも、さまざまなペアリングが可能です。

さくら酒店では、ペアリングに最適な日本酒のセットやペアリングにお困りの方へのサービスも行っております。
5000種類もの唎酒をし、1,000種類以上の組み合わせを生み出してきた経験と実績を持つスタッフがお悩みに合わせて最適なペアリングをご提案いたしますので、お気軽にLINEでご相談ください。

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