日本酒の精米歩合とは?味の変化と楽しみ方を解説
「精米歩合(せいまいぶあい)」という言葉について、みなさんはどれぐらいご存じでしょうか?
精米歩合とは、お米をどれくらい削り取るかを表す言葉で、
この精米歩合によって日本酒の味わいが大きく決まるといっても過言ではありません。
本記事では、知っておくと日本酒選びがもっと楽しくなる、精米歩合の秘密について詳しく解説します。
目次
精米歩合(せいまいぶあい)とは
「精米」とはお米を磨くことを指す言葉です。
よく「玄米を精米して白米にする」といった場面で耳にする言葉かもしれません。
お米を磨くとはお米を削り取ることを意味しており、「精米歩合」はどのくらいお米を残すかという割合を%で表す言葉です。
精米歩合によって日本酒の種類が変わる
精米歩合は日本酒の種類を決める基準でもあります。
より多くの部分を磨くほど精米歩合の値は小さくなるので、精米歩合50%と30%であれば30%の方がより多くの部分を削り取って造られています。
どの程度削るかで異なる味わいのお酒を造ることができ、この特徴を知っておくことで日本酒選びがもっと楽しくなるでしょう。
日本酒の種類と「特定名称酒」
そもそも日本酒は酒税法において「清酒」という種類に分類されており、
- 米を原料として製造され
- 「こす」という製造工程をふんでいる
という条件を満たす必要があります。
そんな日本酒をさらに分類する上での基準は2つあり、
- 1つは今回注目している「精米歩合」
- もう1つは「原料」です。
精米歩合の値と、原料に製造用アルコールを使用しているかどうかの2点について特定の条件を満たした日本酒は「特定名称酒」としてさらに細かく分類されています。
また、特定名称酒以外の日本酒を「普通酒」と呼びます。
ここでは特定名称酒の分類について、特に精米歩合に着目しながら詳しく解説します。
本醸造酒
精米歩合が70%以下かつ醸造アルコールが添加されたものを「本醸造酒」と呼びます。
米・米麹・水・醸造アルコールで造られた日本酒です。
吟醸酒(精米歩合60%以下)
精米歩合が60%以下の日本酒を「吟醸酒」と呼びます。
中でも米・麹・水のみで造られたものを「純米吟醸酒」、米・米麹・水にさらに醸造アルコールを加えて造られたものを「吟醸酒」と呼びます。
大吟醸酒(精米歩合50%以下)
大吟醸酒は、精米歩合50%以下で造られた日本酒のことを指します。
大吟醸酒の中でも米・米麹・水のみで造られたものを「純米大吟醸酒」、米・米麹・水にさらに醸造アルコールを加えて造られたものを「大吟醸酒」と呼びます。
特別純米酒・特別本醸造酒
本醸造酒の中でも精米歩合が60%以下もしくは特別な製造方法のものを「特別本醸造酒」と「特別純米酒」と呼びます。
両者の違いとしては「特別本醸造酒」は米・米麹・水・醸造アルコールで造られているのに対し、「特別純米酒」は米・米麹・水のみで造られています。
お米を磨いて味が変わるのはなぜ?
原料で味が変わるのは想像しやすいですが、一体なぜお米を磨く度合いが重要になってくるのでしょうか。
その秘密は、お米の構造と各成分が含まれている場所にあります。
お米には
- デンプン
- 脂質
- タンパク質
という3つの成分が主に含まれています。
デンプンは米本来の甘味を感じさせる成分で、脂質やタンパク質は雑味のもとと呼ばれることもあります。
この脂質には、酵母による香り成分を抑えるはたらきがあるので、精米歩合が低く多くの脂質が削られたお米は、よりフルーティーな香りが強い味わいになる傾向にあります。
一方で、精米歩合が大きいお米ほど、米本来の旨味や香りがしっかりと感じ取れるといえます。
この精米歩合以外にも、製造工程や熟成方法などを通し職人たちのこだわりが込められることで、最終的にお酒の味わいが完成します。
精米歩合だけで味が決まるわけではないので、あくまでも日本酒を選ぶ際に参考にするポイントのひとつとしてください。
精米歩合ごとの味の違い
精米歩合だけで味が決まるわけではないですが、ある程度の目安として割合に応じて以下のような傾向があります。
精米歩合が50%よりも小さい値まで磨かれたお米で造られた日本酒は、すっきりとした透明感のある味わいが特徴です。
雑味が少ないため、フルーティで果実味のある香りを楽しむことができる上品な味わいが魅力です。
精米歩合60%以下の日本酒は、雑味が程よく抑えられたすっきり感と米本来の深みの両方が楽しめます。
味と香りが程よく主張するため、食事にも合わせやすいといえるでしょう。
精米歩合70%以下の場合は、お米らしい香りと旨味が強く現れた味わいが特徴です。
最も一般的な精米歩合で、コクがある芳醇な旨味が楽しめます。
精米方法にも違いがある
精米をすることで、お米の雑味を取り除きすっきりと透明感のある日本酒造りにつながります。
実はこのお米を削り取る方法には大きく分けて3種類の方法があります。
それぞれお米の削られ方に差があり、各蔵では目指す日本酒の形に合わせてこれらを使い分けて精米しています。
ここでは少々マニアックな、精米の種類とその特徴をご紹介します。
そもそも精米とは
そもそも、精米作業は一体どのようにおこなわれているのでしょうか。
酒米の精米に使われる精米機は、一般的に縦型精米機と呼ばれる機械です。
「精米室」と呼ばれる空間にお米を入れ、その中を「金剛ロール」という棒状の金属が回転して表面を削ります。
この回転スピードと精米室に加える圧力を調整することで、お米に対してロールが当たる角度や強さを調整することが可能です。
球形精米
最も一般的な精米方法ともいえるのが「球形精米」です。
こちらは「普通精米」とも呼ばれていて、短時間での精米が可能な方法です。
球形という名前は精米されたお米が丸い形になることに由来していて、細長い楕円状のお米が丸型になった結果、厚みや幅に比べて長さが多く削られるという特徴があります。
短時間で精米できる一方で、他の精米方法と比べて本来なら削らなくても良い中心部分も一部削れてしまうという欠点があるともいえます。
原型精米
お米の長さ・幅・厚みを均等な割合で削る精米方法を「原型精米」と言います。
均等に削ることで、精米後のお米が玄米と非常に近い形になるため、このように名付けられました。
実はお米の雑味とも言えるタンパク質などは、米の厚み・幅と呼ばれる部分に多く含まれています。
そのため長さだけでなく幅・厚み部分も満遍なく削り取ることができる原型精米は、球形精米と比べてより効果的に雑味を減らすことができる方法といえます。
扁平精米
その名の通り平べったい形にお米を精米する方法を「扁平精米」と呼びます。
扁平精米の磨き方の特徴は、原型精米よりも厚み部分をさらに多く削り、幅は原型精米よりも削らないという点です。
雑味の原因であるタンパク質は厚み部分に多く含まれているため、この精米方法は最も効率よくタンパク質を除去できるのが魅力です。
ただ欠点としては精米過程で砕けてしまうお米や、「芽残り」と呼ばれる胚芽(タンパク質や脂質などの雑味のもと)が残ったお米ができやすいことが考えられます。
近年は精米機の品質が大きく向上しており、最も雑味を取り除ける扁平精米がより取り入れやすい環境が整いつつあるといえるでしょう。
3つの精米方法の味の違い
精米方法ごとにお米の削り取られる部分や量が異なるため、雑味の感じ方などで味の違いが生まれます。
お米の表面部分、特に厚みと呼ばれる部分にはタンパク質や脂質が多く含まれるとお伝えしましたが、実はこれらの成分は一概に雑味として切り捨てることはできません。
これらの表面近くの部分は雑味になりやすいとはいえますが、同時に日本酒に旨味や深みをもたらす重要な部分です。
そのため扁平精米されたお米は雑味が少なくすっきりとした味わい、球形精米の場合はお米ならではの旨味や深み、そして原型精米は程よく雑味の取れたバランスの良い味わいをもたらしやすいといえます。
一口に日本酒といっても、すっきりとした透明感のある味わいから、濃厚で旨味の強いものまで多種多様あり、職人たちが熟成や加工方法などを組み合わせながら格別の味わいを形作っています。
ですので、一概に「この精米方法だから良い・悪い」という観点で決めつけるのではなく、気分や好みに合わせた日本酒選びの判断基準のひとつとして精米方法をチェックしてみるのをおすすめします。
精米歩合が日本一低いお酒とは?
精米歩合や精米方法で表情を変える日本酒ですが、実は0%台という脅威の精米歩合を誇るお酒が存在します。
実に精米歩合0.85%、すなわちお米全体の99.15%を取り除いて造られる「零響(れいきょう)」は、数々の銘酒を生み出し続ける宮城県の新澤醸造店が「美味しい日本酒を造る」という一心で造り上げた珠玉の味わいが特徴です。
世界で唯一の精米歩合0%台の味わいはお米本来の魅力が最大限引き出され、穏やかでやさしい香りと滑らかでしっとりとしたアタックが口いっぱいに広がります。
と思ったのも束の間、瞬時にその深い味わいは口から消え去り、心地の良い余韻がじっくりと感じられるのが零響の魅力。
あえて香りを強く出す酵母は使用せず、お米本来の旨味にこだわって氷温熟成された零響を、ぜひ一度ご賞味ください。
さくら酒店では国内333本の限定流通ゆえに「幻の日本酒」と謳われる零響をお取り扱いしています。
とはいえその希少性ゆえに例年予約開始と同時に注文が殺到する人気商品ですので、ご興味をお持ちの方はお早めにお買い求めください。
こちらの零響特設サイトではその味わいの魅力や職人の想いを詳しくご紹介しています。
ぜひこちらもあわせてご一読ください。
【精米歩合0%台】零響(れいきょう)-Absolute 0-|さくら酒店
精米歩合を踏まえてお気に入りの銘酒を探す楽しみを
日本酒選びがもっと楽しくなる、精米歩合の仕組みやそれぞれの味の特徴をご紹介しました。
削り方次第で大きく表情を変える日本酒は、その日の気分やお好みに合わせてさまざまな楽しみ方ができる絶品のお酒です。
ぜひ今回ご紹介した内容を、お気に入りの日本酒探しにお役立てください。
また、さくら酒店では一人一人のお好みに合わせておすすめの日本酒をご案内しています。
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